陽時計と日々記

三十路過ぎて囲碁を始めてみるおっさんのブログ。

棋書「19路盤は怖くない 悩み解消!12のポイント」

前にも書きましたが、あまり対局の機会が得られないことと、ネット碁が好きじゃ無いという事から、結構色々と本に頼った勉強をしています。普段は詰碁や手筋の本を読むことが多く、指南書のような類いの本は読まないのですが(色々と書いてある事や局面の展開の都合が良すぎる気がして馴染めない)、この本は本屋さんで新刊として紹介されていた時、パラッと見てみて「なかなか良いかも」と思いました。

この手の指南書で良くあるのは、序章で囲碁のルールの説明、布石の説明、中盤戦の説明、ヨセの説明、と、大体どれを読んでも書いてあるようなことは似たようなことなのですが、例えば布石の説明の項などでは、たいていの場合、「黒1から白14まで穏やかな展開になりました」と、さらっと流される事が多い。ただ、私程度の場合、どういう理由があって黒1から白14まで打たれたのか、理由が分からないし、それが穏やかなのかどうかもよく分からない。大場と急場も判断が曖昧ですし、見本対局などの進行を見ても、「なんでここに打ってるのかわからない」事が、数え切れないほど出てきます。

この本は、そういった、 "一局を通し見てそこから碁を学ぶ"という内容では無く、一局の碁の中で、比較的よく出てきやすい局面で、「このとき、黒/白は、どこに打つのが良いと思いますか?」という事を重点的に聞いてきます。それだけならまだ良くあるのですが、他の本では「こう打つのが定石/手筋です。ここに打ったら白はこう返してくるぐらいで、黒はここに打ちます。憶えましょう。」ぐらいで流される事が多いんです(これを本当にそのまま憶えると、定石通りに返ってこなかった時にどうしたら良いのかが分からなくなるので、定石を憶えることをやめました)が、この本の場合、まず、よく有りがちな"勝手読み"による間違った応手の説明が入り、「このような進行には絶対になりません。」という説明があります。また、正しい手を選んだ場合、その手がなぜ正しいのか、という説明もあり、勝手読みの手の間違った理由、正しい手が正しい理由を、親切丁寧に説明しており、私ぐらいの人間が「なんでその手が正しいのか分からない、なぜそうなるのか分からない」という疑問が解消され、非常に読みやすいです。

問題として出される場面も、有名な基本定石の進行だったりするのですが、それが「定石である」と言うような事は一切書いて居らず、これが敷居を下げているのでは無いかと思います(「定石」と言われると暗記しないといけない気になる)。そういった基本的な定石の進行に関しても、勝手ヨミの手と正しい手の2つの視点から丁寧に解説してくれるので、知っている定石の展開の項でも、「なぜ定石と言われているのか」が理解しやすいです。これを理解しておけば、相手が定石通りの手で返してくれなくても対応出来そうです。

各章にあるポイントのまとめや、コラムも、私ぐらいの棋力の人間には参考になることが多く、疑問に思いやすいことには一通り答えてくれていると思います。

逆に言えば、ルールの説明や、布石やヨセの事はほとんど何も書いて居らず、序盤から中盤にかけての指南のみの本なので、入門者では無く初心者が対象で、「19路でどうやって打っていったら良いのか」で困っている人が対象になると思います。布石やヨセに関しては、他の入門書や、それに特化した本を読むのが良いのでは無いかと。

19路に移行して、本や解説を見た時、「なんでそうなるのか分からない」「なぜそれが良いのかわからない」というような疑問を持ったり、疑問を誰かに質問してみても釈然とした答えが返ってこなかったり、という経験がある方、19路では何を考えて打っていくべきなのか分からない方には、お勧めできるのでは無いかと。今まで疑問に思っていた事が、結構解消されていきます。

 


19路盤は怖くない 悩み解消!12のポイント (囲碁人文庫シリーズ)