陽時計と日々記

三十路過ぎて囲碁を始めてみるおっさんのブログ。

棋書「基礎からわかる 白番布石の教科書 ~迷いをなくす5つの鉄則~」

以前にも白番の布石で悩んでいるような事を書いた気がするのですが、それを解決する一つのきっかけになるかな?と、手に取ってみました。

で、ぱらぱらっと読んではみたのですが…なんというか中途半端な感じ。黒の主な布石に対する対策と構想がメインで、三連星や中国流、ミニ中国流、星と小目のシマリなどへの対策がメインになるんですかね。この辺は互先だと頻繁に遭遇する布石なのでそれは良いかと思うんですが、基本的には白は二連星で打つ事が前提となっています。つまり、これ白番での布石が二連星で無い人の場合、あまり役にたたなくなってしまうんですよね。もちろん二連星ならある程度の参考にはなるかも知れませんが…。

そこには目をつぶるとしても、私がある程度知っている布石としては、三連星、中国流、星と小目のシマリの布石に関しては、対策と言うには着手のパターンが少ないと感じました。例えば三連星に関しては、このブログでも以前に紹介した「三連星の基本戦略」という三連星に特化した本があるのですが、これにかなりの数の変化が載っています。この本は黒の打ち方を主に書いたものですが、「白がこう打ってきた場合、どうするか」というのがメインの本であるため、白はどう打つべきかが分かるんですよね。これを読めば、自分が白番で相手が三連星に打ってきた場合、自分の持っていきたい戦略・構想に相手を引きずり込むには、どう打つべきか?というのが大体分かってしまいます。しかも、こっちには白が二連星以外の布石にした場合の展開も載っていますし、二連星の場合にしても、着手のパターンが"三連星の基本戦略"の方が多く載っています。

中国流や星と小目のシマリに関しても同様で、「「星と小ゲイマ」集中講義 ~逆からツメる新発想の布石~ 」や「決定版!中国流布石だけで勝つ方法」、「スモール中国流布石 徹底ガイド」などの方が、相手の布石対策には有用かな、と。

小林流やケンカ小目への対策、向かい小目の打ち方なども載っているのですが…小林流はともかくとして、ケンカ小目や向かい小目なんかは、その場その場で考えながら打てば良いんじゃないかなぁ、と思います。特に自分から向かい小目にする時点で何らかの構想を既に持っているんじゃないかと。

ざっと一通りの布石対策を知りたい人には一冊で済んで手軽かも知れませんが、少し黒が応手を変えるだけで、簡単に困ってしまいそうです。かといって、黒が応手を変えてきても困らないなら、そもそもこの本などには頼らないのでは無いかと。そういう点で実に中途半端な内容だなぁと言わざるを得ないです。あと、当然ながら、置碁には使えません。


基礎からわかる 白番布石の教科書 ~迷いをなくす5つの鉄則~ (囲碁人ブックス)

少し良い点として、一応、冒頭に「白番の心構え」みたいな法則が少し書いてあって、これは「白番でどう打ったら良いのか分からない」という人には役にたつかも知れません。ただし、私は、白番での構想や着想を養いたいのであれば、「横田茂昭の白番は楽しい! 」を推します。


横田茂昭の白番は楽しい! (NHK囲碁シリーズ )
私の場合は、この本を読んでから、白番で打つ事に迷いが無くなったので。特に「白番は一歩遅れて当たり前」というような文言があって、その一言が、言われてみれば当たり前ながら、感銘を覚えた事を、強く覚えています。それ以外にも、白番で打つにはどういう心構えで、どういう気持ちで打っていけば良いのか…と悩んでいる人には、その悩みを軽くしてくれるような言葉が詰まっている本だと思います。