陽時計と日々記

三十路過ぎて囲碁を始めてみるおっさんのブログ。

置き石。

ふと昔のことを思い出した。置き石のこと。

まだ自分が13路で四苦八苦していた頃、プロの先生に指導碁を打っていただく機会があり(プロに13路でってのも今思えば贅沢な話だ)、その時に「置き石を絶対に捨ててはいけません」と言われたことがある。

なぜそんなことを今思い出したのかというと、13路や19路に出てきたばかりの人が、意外と序盤に早々に置き石を捨てることが多い、と思ったから。最近、囲碁を覚えて間もない知人と13路を打ったり、13路を卒業してサァ19路と言う人の碁を見たりする機会があったのだが、意外とそういう事をしている。「なぜこの石を守らなかったのか?」と聞くと、「それは最初から捨てた。」という返事が返ってくる。

どういう感じかというと、極端な例だが、こんな感じ。

f:id:SLK:20120614193423p:plain
f:id:SLK:20120614193701p:plain

まぁこれだけだとまだ分かんないんだけども、大抵はこの後、白に挟まれた黒を全く助けようとしない。自分も大概にヘボの中のヘボだが、これだけははっきりと「やったらダメ」と言うことが出来る。

こういう打ち方をする人が言うには、「隅を捨てて他を手堅く取ろうと思った」という答えが大体返ってくるのだが、これは愚策で、白に大変な余裕を与えていることになる。白は、最初は黒に囲まれている状態で地を作るのにも一苦労と言う状態で、どのようにして黒地を荒らして地を作り、展開していこうか…と悩んでいる状態で打つのだが、いきなり隅の一子を捨てると言うことは白は隅に難なく定住地を見つけることができ、その後安心して他を攻めることが出来るようになる。…もっとも、偉そうに言っておきながら、こういう白の立場から考えられるようになったのは、つい最近の事ではあるが。対局した方がまさにこういう事をしてきた為、白は中央やら隅やら思い切って荒らし放題な事ができた。

とは言え、黒の気持ちも、実は分かる。なぜなら自分も昔、全く同じ事をしようとしたことがある。それで冒頭のプロの方の言葉に戻るわけだ。そのプロの方から言われた言葉そのまんまを書き出そうと思う。

置き石を置かせてもらうと言うことは、ハンデを貰わないと勝負にならない相手と打つと言うこと。置き石を捨てると言うことは、自らハンデを捨てると言うこと。石を置くぐらい大きい実力差のある相手と打つのだから、置き石は一子も捨ててはいけない。」

…こんな事を言われて、私は石を置かせて貰うときは、置いた石を全力で活用するように心がけるようになりました。「一子ぐらい捨てても…」なんて考えは身の程知らずも甚だしいという事で、弱いうちは捨てても良い石など無いと言うこと。置き石を捨てると言うことは「ハンデなんか要らん!」と言ってるのと同じ事になる。だから置き石は捨ててはいけない。

備忘録の為に書いておこうと思った。昔の自分のこと。